目次
子は親を選べないのか
業の深い叔母
家庭環境が悪かった人がよく「子は親を選べない」と言う。大体の人は「そうだね」と納得すると思う。しかし本当にそうだろうか。
筆者にはとても業の深い叔母がいた。叔母はとても意地悪で、親族の集まりなどで会うと嫌味を言われたり巧妙な嫌がらせのようなことをされたりした。
叔母は昔結婚していたが、夫が酒を飲んで暴力をふるう人で離婚していた。たまに「私には子どもがいないから」と投げたようなことを言った。祖父が資産家だったので叔母はマンションと車を与えられ、働かずに生きていた。主体性がなく、家族に依存して生きていた。
叔母は自身の不幸を「旦那が悪い」「兄のせいで」「親の世話をしたせいで」「この家に生まれなければ」「韓国人に生まれなければ」
と自分以外のなにか・誰かのせいにして生きていた。
祖母が亡くなる
祖父に先立たれた祖母も亡くなり、通夜で叔母と話したとき彼女は、この親は大変だったといったニュアンスで「子は親を選べない」と言った。
そして1年後の一回忌のとき叔母は筆者に対し、とても強いヘイトを感じさせることをした。それが引き金となり筆者は叔母と絶縁し立ちおくれた思想の一族とも絶縁することを決めた。叔母と半日会っただけで数日間ぐったり疲れてしまった。
翌日から絶縁の手紙を書きはじめ、足りない頭をひねって思いを言語化し、書きおえるまで1週間もかかってしまった。
手紙には大体このようなことを書いた
- 家族に依存しすぎている
- 親にとらわれすぎている(家族主義・儒教思想の批判)
- 朝鮮人・親族同士で争うのはばかげている
- しばらくは親の資産で生活できるが、このままではいずれ困るときが来る
- 困ったとき、自立しようと努力しない叔母の世話は拒否する
- 私は一族から出ていく
彼女はなぜ業が深いのか
観念論に解答を求める
なぜ彼女はこんなにも不幸なのか。必ず原因があるはずだ。当時、筆者はまだチュチェ思想に出会っていなかったので観念論に解答を求めた。
そして、頑張って出した答えは「因果応報」「前世の業」だった。
彼女はきっと前世で朝鮮人をいじめていた支配者だったから、古い思想の朝鮮人の家庭に生まれ、なにをやってもうまくいかない運命なのだ。
この説なら納得いくかなと考えた。
斎藤一人氏の思想
叔母の因果、そして自分はどう生きていけばいいのか考え色々な本を読んだ。そして斎藤一人氏の思想に出会った。
斎藤一人氏(1948年8月3日 -)は実業家で「銀座まるかん」の創業者。1993年から12年連続、長者番付10位内、1997年・2003年と納税日本1位。幸福論・人生論などを説く観念論者である。
斎藤一人氏の話で「子は親を選んで生まれてくる」という説がある。斎藤氏いわく、人間は「魂の成長・修行」のためにこの世に生まれてくる。魂は不滅で、人は死んだあとあの世で過ごしたあと輪廻転生で生まれ変わる。そのとき神様に、自分の魂の足りない部分を修行するのにちょうどいい親・環境のもとに割り当てられるという。それに納得し、神様と修行の約束をしてこの世に生まれてくる。そして生まれたらそのことは忘れてしまうという。
先述した叔母の主張
「旦那が悪い」
「兄のせいで」
「親の世話をしたせいで」
「この家に生まれなければ」
「韓国人に生まれなければ」
この環境じゃなければ私は不幸じゃなかった―言っていることは事実かもしれない。しかし人間の問題の根本は外部ではなく内面にある。
叔母の元夫には会ったことはないが、もし筆者が叔母の夫だったら家に帰るのも嫌になるし、酒も飲みたくなる。暴力は論外だが気持ちはわかってしまう。
叔母は祖父の世話をすることで自由に活動するチャンスを奪われたと言うが、実相は叔母に主体性がなかっただけだ。祖父は資産家だったので子どもが世話をしなくても人を雇えるし、逆に叔母は祖父に養われていたのだ。
朝鮮人という出自に関しても「今はいいけど私の時代には韓流がなかったから」などとばかげたことを言った。
つまり叔母はテイクしか考えない。ギブもできないと人生はうまく運ばないのだ。
叔母はこれからどう生きればいいのか
観念論的解答
斎藤一人氏いわく「神様は乗り越えられない試練は与えない」という。それならば叔母はこれからどう生きればいいのかというと
- 人間は魂の成長・修行のために生まれてくる
- 生まれる際の親・環境は魂のレベルに合わせて神様が割り当てる
- 自分はそれに納得し、神様と修行の約束をして生まれてくるが、生まれてきたら忘れてしまう
- 神様は乗り越えられない試練は与えない
- それらを踏まえ自分の魂を向上させるよう努力して生きる
「親・環境は自分で選んだ」と認識を改めることが大事だ。
唯物論的解答
ではチュチェ思想ではどのような解答になるだろうか
- 依存心を捨て自主性をもつ
- 経済的に自立する
- 自身には環境を変えていく創造力があるということを知る
- 矛盾に向き合い解消していけば発展していくことができる
チュチェ思想は人間中心の世界観であり、神・あの世などは存在しないとみる。人間には自主的に環境を変えていく創造力があるので、現実世界で主体的に生きて豊かになればいいと考える。
まとめ
いかがだっただろうか。結局は過去や環境にとらわれず向上心をもって未来志向で今を生きていくしか答えはないのではないだろうか。
また一つの事象に対しネガティブにとらえる人もいればポジティブにとらえる人もいる。自分の解釈によって自分で不幸になる、無意識のうちに自ら「不幸になろうとする」人も少なからずいる。
客観的事実を無視したりかけ離れてはいけないが、人生は認識・解釈で大きく変わるということができるだろう。
筆者は神やあの世を信じないが「子は親を選んで生まれてくる」という説は納得感をもって頭に残っている。