目次
チュチェ思想の概要
- チュチェ思想は人間中心の哲学である
- 人間の運命は、神的存在や環境が決めるものではなく人間が決めるものである
- 自分の運命は、神的存在や各自のおかれた環境が決めるものではなく自分自身が主体となって切り開いていくものである
- なぜなら人間は自主性と創造性をもった社会的存在であり、自主的・創造的に環境を変えていく力があるからだ
- また前提として唯物論的に世界をみるので、非科学的で観念論的なものの見方はしない
- チュチェ思想は抑圧された存在、つまり主体性を失った存在のための思想であり、あらゆる抑圧からの人間の解放・発展のための哲学ということができる
- 朝鮮に適用した場合、朝鮮の運命は外部勢力が決めるのではなく、朝鮮人自身が主体となって決める、ということになる
- 在日朝鮮人に適用するならば、自身には環境を変え運命を切り開く力があるので、まわりの環境にとらわれず朝鮮人として主体的に発展していけばいい、となる
チュチェ思想の世界観
世界の一般的特徴
- チュチェ思想は前提として唯物論的に世界をみる
- 唯物論とは、世界は物質から成り立っているとし、「神的存在」や「霊界」など非科学的で観念論的なものを否定する考え方である
- 物質は、人間の意識に依存することなく客観的に存在する
- 世界は物質から成り立っており、科学的・客観的法則によりたえず変化発展する
- 世界は固定不変ではなく、たえず変化発展する点で弁証法的である
- よって世界の一般的特徴は「弁証法的唯物論」的である
人間の本質的特徴
- 人間は、動物のように自然に与えられた環境と生活手段に依存して生きていくのではなく、自らの力で創造した環境と生産手段によって生きていく
- 人間も環境なしには生きられないが、環境に依存し拘束されるのではなく、環境を支配する主人として自主的に生きようとする要求をもつようになる
- 人間は客観的世界(自然・社会)を自己の要求に合わせて改造しうる創造的能力をもつことから、自主的に生きようとする要求をもつ
- 人間は社会を構成して生きていくので社会的存在である
- よって人間は自主性・創造性をもった社会的存在である
世界における人間の地位と役割
- 人間は世界における唯一の自主的存在であるので、世界の主人の地位を占める
- 人間は世界において唯一の創造的存在であるので、世界を変化発展させる上で決定的な役割を果たす
- もちろん人間とそれをとりまく世界は互いに影響をおよぼし合う。しかしつねに主導的な地位を占めすべてのことを自主的に有利に変化させる存在は、自主性と創造性をもった人間である
- これらの点から「人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定する」という原理となる
チュチェ思想の闘争対象
人間の解放・発展を阻害する思想は除去しなければならない。
- 事大主義
- 教条主義
- 形式主義
- 虚無主義
- 日和見主義
- 封建主義
- 家族主義
- 儒教思想
など
チュチェを確立するとは
チュチェ確立の3原則
- 政治における自主
- 経済における自立
- 国防における自衛
上記の3原則は国家イデオロギーだが個人に置きかえて適用することもできる。
チュチェを確立した状態
- 主体性を持ちながら客観的世界(自然・社会)との整合性(バランス)をとる
- 矛盾が生じれば弁証法的に解消し、さらに発展していく
- 極端に偏っていない状態
「3原則」をもとに「チュチェを確立した状態」にもっていくことが、「チュチェを確立する」ことだと考える。
「目的」と「手段」
チュチェ思想は、人間の「主体性」にフォーカスした、シンプルかつ本質的で普遍的な発展法則である。あくまで人間の解放・発展のための「手段・方法論」であり、人間の「目的」にはなりえない思想である。
つまりチュチェ思想は、「共産主義」や「資本主義」のように社会を規定するものではないので、「目的・目標」は自分で設定して「手段・方法論」としてチュチェ思想を適用するという流れになる。
参考文献
リンク
リンク
リンク